みなぞう

新聞に、「みなぞう骨格標本」のことが載っていた。


みなぞう」とは。
神奈川県藤沢市新江ノ島水族館にちょっと前までいた、ミナミゾウアザラシ。新江の水オープン時、確かメインキャラクター的な売り出し方をしていたはず。
もうね、とにかくでっかいんですよ。でっかかったんです。おいらも一度見たんだけど、一緒のプールにいる普通のアザラシ(正式名称はわからないけど、いわゆるアザラシ、だ)と生物学上全っ然違う生き物なんじゃないの?!と思うくらい、大きかった(実際「違う生き物」だったのかもしれないけど)。


正直言うと、大きすぎてちょっと怖いというか気持ち悪いというか…そう思ったのも事実だけど、同時に飼育係のおじさんをもちあげたり、バケツをかかえたりする姿がおちゃめでかわいかったなぁというのも事実。特に、飼育係のおじさんとはすごく親密な信頼関係が感じられて、お互いがお互いのこと好きなんだなぁと思うことができた。


だから去年、突然死んじゃったのを知ったときにはけっこうショックだった。たしか2週間前とかに見たばっかりだったんだ。「ああ、あのコ死んじゃったんだ…」なんて、一度しか見たことないのに、それでも。


そしたら今朝の新聞で、「みなぞう骨格標本が展示されました」って。死後、研究のために日大に寄付されて、札幌の業者が標本化(そういう業者があるんだね!)したとのこと。骨格の写真も載っている。ふむふむ…。
これを悪いことだとは全然思わないんだけど、彼(だよね、たぶん)が生きてる時に見てるからか、骨格の状態になった彼を見るのはなんだか不思議な気がした。そして、自分はその骨格を見には行かないだろうなと思った。学術的な興味がないのが一番の理由だとは思うのだけど、骨じゃ、飼育係のおじさんを持ち上げることは出来ないからね。
あのおじさんは骨格になったみなぞうに会いに行くのかな。もう行ったのかな。死んじゃったときも、あたしがまず思ったのは「おじさん、大丈夫かな」、だった。見に行ったとき、あまりにも仲良しだったんだもん。自分の家族とか、孫みたいな感じにかわいがってたんじゃないかな…って勝手に想像した。
骨になったみなぞうも、おじさんが会いにきてくれたらうれしいのだろうか?