といっても、夢の中だけど。


熱心な読者様(いない)なら覚えていらっしゃるかもしれませんが、おいらの王子様は、昨年夏、蒸発いたしました。
いや、蒸発っていうか、まぁ元々近くにいた人ではないのだけれど、留守電に簡単なメッセージと、一通の短いメールを一方的に遺して、行ってしまった。


あたしはさすがに唖然として、悲しみと寂しさと怒りと不安と心配と納得と喪失感とをごちゃっと混ぜたような気持ちをかかえて、最終的には「もう知らない!」に行き着いた。
誕生日だって、祝ってやらない。未練がましく探したりなんかしない。勝手にすればいいわ、あんたが戻ってきたって喜んでやらないから。


と思っていたのに、夢の中では、あたしは彼に会えたことがうれしくて、彼が戻ってきてくれたことがうれしくて、「もう知らない!」どころか「できることなら今ここで抱きしめたい」と口走っていた。


だってうれしかったんだもん。


だけど彼は、あたしがそんな夢を見ていることも知らず、この国のどこかに(たぶん)いる。
夢から醒めたあたしがどんな沈黙を抱えたかも当然知らずに。


だからあたしはやっぱり、力いっぱい言う。
馬鹿野郎!!!