続き。


BassLineでもやっぱり卓球はとても嬉しそうに歌う。客席も当然盛り上がる。
そこからは実際音量が上がったのかあたしの位置の移動のせいか(跳ねていたら開始時より中央に来ていた)、2人のテンションも上がったのか、なんかすごかった。ずーっと踊りっぱなし跳ねっぱなしで、楽しかったことくらいしか記憶がない。卓球も客席を煽ったり例の変な動きをしたり、すごく楽しそう。川辺さんは表情変えず、でもノリノリなのがわかる。


前半、このままゆるーく、フレンドリーな感じで今日は行くのかなぁって思ってたんだけど、結局踊らされてしまった。何も考えるヒマなく、大音量の音にまみれてその場を楽しんでいた。あたしはとにかく卓球が好きで、今日ははじまってからほぼ卓球しか見ていなかったんだけれど(川辺さん宇川さんごめんなさい)、途中からは卓球を「見る」ことすらままならなくなって、視界には入っているんだけれど頭では「見る」という行為を追求できなくなっていて笑った。音と、ゴキゲンな気分。もちろん目は卓球にほぼ固定だったけれど、理性とかはどこかに行ってしまっていた。


あれだけ自分にフィットする音を、音楽を、あのボリュームで提供されると、どうやら耳だけでなく体全体で受け止めるらしく。全身の細胞が喜んでいるのがわかる。潤っていくのがわかる。いつもあたしに足りない音楽をここぞとばかりに補給しようとしているかのように、あたしの全身のいろんなもの(たぶんDNAとか、染色体とか、神経細胞とか、第12因子とかだ。よくわからないけれど)がせっせと音楽を吸収している。だからあたしは踊りながら、とても満たされた気分になる(実際に「満たされて」いたのだから)。そして、常に笑っている。
Good That You Comeで再び卓球は歌う。右手でマイクを握り、左手は腰。なんて歌い方してるのさ、と思いながらも微笑ましい。


よく思うのだけれど、卓球はホントに嬉しそうに笑う。楽しそうに笑う。今夜は歌う前に必ず笑っている。川辺さんは常にクール。卓球がしゃべっている間も静かに聴いている。客席から名前を呼ばれて卓球に「呼ばれてるよ」って言われたときはにこにこ笑っていた。このおっさんたち、かわいいな。かわいいとか言ったら失礼なのはわかってるんだけれど、あの彼らの姿を見たらそう言うしかない。でも同時にめちゃめちゃかっこいい。どうしてだろうね?


音楽が止まり、2人は手を上げて、上手へと消えていく。あまりの盛り上がりにあっという間に時間が過ぎてしまっていたらしい。でもInKはアンコール有との噂だったから、もちろんあたしたちは残る。帰っていく人がいたから、その人たちの分、前へ行く。


再びステージに戻ってきた二人。客席からの「陽水!」の声に「陽水じゃないですよ…あれでしょ、羊の水のほうでしょ?」と返す卓球。昨日作ったばかりの新曲をやってくれるという。Macを操作する卓球に「がんばって!」の声。「…がんばってるよ!」と返す卓球。客席とブースが近いというのもあると思うけど、やっぱり今夜はフレンドリーな雰囲気に包まれたライブだ。おとなしく待つ客席。卓球は声出しのマネをしておいて「インストなんだけどね」と笑う。「魔王ね、好きなんですよ…。焼酎のほう」。曲の前に「じゃ、またね」と別れの挨拶をする卓球。なんて親密な空気なんだろう今夜は!


アンコール終わって、時計を見れば22時。幸せな気分でUNITを後にするあたしたち。裏道から駅へと向かう。付近はライブ後だとは思えないほどの静寂に包まれている。「楽しかったね」「かっこよかったね」を繰り返してあたしたちは別れ、逆の方向の電車へと乗り込む。こうして私たちはまた日常へと戻って行くのだけれど、まだ耳の奥はジンジン言っているし、細胞は満たされている。しあわせな痺れをそっと抱えて、帰路につく。


なんどもこのブログに書いているのだけれど、私は本当に音楽に詳しくない。だからどうしてテクノに出会ったのか、そして卓球に辿り着いたのか全く不明なのだけれど、そんな私でも文句無しに今夜は楽しめたし、きっとこの先だって楽しめるんだと思う。彼らはプロで、アーティストで、おっさんで、あたしの日常とはかけ離れたところに立っている人々だけれど、こんなにしあわせな、ハッピーな気分にさせてくれるんだから、四の五の言わず踊ろうと思う。
卓球さん、あたしはあなたに踊らされるのが無上の喜びです。


そうそう、チラ見しかしなかった(できなかった)けど、宇川さんのVJも相当キテてやばかった。これはちゃんと言っとかなきゃね。