と、イマジン風に呼びかけてみる。<タイトル

とにかく、想像してみてくださいよ。

5年前でも7年前でも10年前でも、あなたが好きだった人のことを思い出してください。といっても、できれば当時付き合っていた恋人とかじゃないほうがいい。どちらかというと、手の届かない憧れの人…大好きだったアイドルとか、ミュージシャンとか、そういう人のことを。恋焦がれた、その人のことを。
そしてあなたは日常のあれこれや現実のあれこれに追われ、その人からなんとなく離れてしまったり、忘れてしまったりしました。嫌いになったわけじゃなく。
そしてその人のことをほとんど思い出さずに生活しています。そうですよね?
しかし、あなたは突然、その人に出会います。もちろん初対面ですが、感覚的には「再会」に近い出会いです。あの頃あれだけ恋焦がれた、手の届かなかったあの人が、突然目の前に存在しています。手を伸ばせば触れられます。声を掛ければ会話が始まります。そんな近さです。

どうしますか。

私は、どうもしませんでした。どうもできませんでした。なんだか、現実じゃないようで。ぼんやりと、「あぁ、あの人がここにいる。本当にここにいる。」と、心の中で自分に向かって確かめることしかできませんでした。

「私、ファンだったんです」とか、言えればよかったのに。野暮だろうとなんだろうと、本当のことだから言っとけばよかったのに。照れたり遠慮したりせず、素直に言えればよかったのに。

緊張してたのももちろんあったけれど、なんだか今更、「ファンでした」なんて言うの、恥ずかしいと思ってしまったんだ。急に言われたほうも困るだろう…なんて思って、知らないふりしちゃったんだ、「あなたのこと私、特に知らないんです」っていうフリをしちゃったんだ。それでそつなく、「お疲れ様でーす」とか、言っちゃったんだ。

…馬鹿!あたしの馬鹿!!

「すごく好きでした!」
「お会いできて嬉しいです!」
「いつかご一緒させていただけるように、がんばります!」
とか、野暮でもかっこ悪くてもいいから、言っとけよ私!

悔やんでも悔やみきれない。
もう、あんなに近い距離では会えないかもしれないのに。

保村大和さん、今度またあんなふうにお会いできたら、その時は必ず、言います。
すごく好きでしたと。